★酒粕の甘酒、米と麹の甘酒 〜どう違う? かんたんなご説明〜
甘酒には、大きく分けて2種類あります。
1:「米と米麹」が原料のタイプ ←ノンアルコールです
2:「酒粕」が原料のタイプ ←アルコール1%ほど(過熱後)
今回のレシピでは、2のタイプで、市販の酒粕を使った甘酒の作り方をご紹介します。
*酒粕の甘酒
酒粕とは、日本酒を作る過程で出る絞りかすです。
アルコール発酵の後でできるものですから、アルコール分を含みます。
それを材料につくる甘酒も、当然ながらアルコール分を含みます。
ただ、甘酒を作る際の加熱でアルコール分が飛ぶので、実際に飲むときには1%程度のアルコール分です。
栄養価が高く、食物繊維やビタミンなどを多く含みます。
*米と米麹の甘酒
こちらの材料である「米麹」とは、蒸したお米に麹菌をつけて発酵させたもの。
アルコール発酵ではないので、アルコールは含みません。
麹菌のはたらきでお米のデンプンが糖化され、自然で豊かな甘味が楽しめます。もちろんブドウ糖・ビタミンB群・アミノ酸などの栄養素が豊富で、古くから夏場の滋養強壮にも重宝されます。
米麹タイプの甘酒は、いろいろな商品が市販されています。開封してすぐ飲めるので手軽です。写真はマルコメさんの商品で「米麹からつくった麹甘酒」。
*気になるアルコール分について
酒粕でつくる甘酒は、最後の加熱の過程でアルコールを飛ばしますが、それでもやはり1%程度は残ります。アルコールを控えておられる方は、米と米麹から作られる甘酒であれば、安心してお楽しみ頂けると思います。
では、美味しく作るポイントに移ります。
★ポイント★
美味しくつくる唯一のコツは、酒粕をよく溶かすこと。これに尽きます。
よく溶かさずに荒い粒感が残ると、それを噛んだときに、日本酒独特の香りがワッと口中に広がります。
でもそれでは、せっかく栄養豊富な甘酒にネガティブな印象を抱いてしまう方もおられるのでは?
今回のレシピで、アルコールに強くない方でも、日本酒がさほど得意でない方でも、
日本酒の香りがドワッとこずに、滑らかな口あたりで自然な甘みと旨み・滋味を感じて頂けたら嬉しいです。
なるべく短時間で美味しく作れるレシピにしました。手数も洗い物も少なくいきましょう♪
★酒粕で作る なめらか甘酒の材料(1杯分)
・酒粕(板状でもバラバラタイプでも)…25g
・水 …160cc
・砂糖 …大さじ1(9g)レシピは白砂糖を使います。お家にあるものでOK。
・生姜 …絞り汁をひとかけら分(写真参照)
★酒粕で作る なめらか甘酒の作り方
①酒粕を溶かす 〜いちばん大事な工程〜
しつこく繰り返します!
今回は、日本酒がさほど得意でない方でも気楽にお召し上がりいただけるよう、
酒粕をしっかり溶かすことに重点を置きます。
酒粕はお好みのものでOKです。スーパーなどで購入できます。
今回は近所のスーパーで購入した「滝の泉 酒粕」(300g入り)です。
「滝の泉 酒粕」酒米として有名な山田錦のふるさと、兵庫県・加東市の山田酒造食品株式会社さん(酒粕屋さん)のもの
電子レンジで使える容器(深め)に、酒粕を全部入れます。
電子レンジOKの、深めの容器がおすすめです
手でちぎれる範囲で良いので、この時点で酒粕を細かくしておくと後が楽です。
バラバラっと小さめに千切ります
そこに、水全体160ccのうち30cc程度を注ぎます。容器を軽く揺すり、酒粕がなんとなく水をかぶる感じにしたら、電子レンジへ。
500Wでで30〜40秒くらい温めて、40℃くらいにします(お風呂くらいの温度)。
酒粕と水を同じ程度に温めることが目的です。
酒粕を冷たい水で溶かそうとしても溶けません。ブレンダーなどをお持ちの場合も、先に温めて、ある程度ほぐします。
写真は酒粕が少し柔らかくなり、端から少し溶けてきている状態です。ここで酒粕を少しほぐします。次の段階でしっかり溶かすので、ここではまだ、ざっくりとほぐして水となじませる程度で良いです。
木べらやフォーク、あれば小さなゴムベラやホイッパーを使います。
あると便利なお道具たち。左から、細めのゴムベラ、ミルクフローサー、ちびホイッパー
酒粕をほぐしていると冷めてくるので、水を分量のうち大さじ1くらい足して、2回目のチン。
また全体を40℃くらいにして、酒粕を今度は細かく溶かしていきます。
2回目のチンの後は、ずいぶん柔らかい状態になっていると思います。
細かくなってきたら、お持ちの方はミルクフローサーかブレンダーに持ち替えてください。作業が格段に早いです。
100均で買える!ミルクフローサーです。本来はミルクを泡立てる用途で使いますが、実際はいろいろ使えて便利です
ミルクフローサーの先端部分は華奢なパーツのため、使う前にできるだけ酒粕を手動で溶かしましょう。ミキサーやブレンダーをお持ちの方は、ここで登場させると良いでしょう。作業が一瞬で終わります。
フローサーを使うなら、酒粕の粒が小さい方が使いやすいです
最後まで手動で溶かす場合は、冷めたらレンジで温める、を繰り返して根気よく溶かしていきます。
ほぼ溶けてトロトロの状態になりました。これで滑らかでおいしい甘酒ができます。
②溶けた酒粕を鍋に移し、残りの水と砂糖(大さじ1)を入れる
水は、冷水よりも常温〜ぬるいくらいの温度で合わせると馴染みやすいです。
③弱火〜弱めの中火でフツフツ状態を4分キープ → できあがり
ゴムベラなどでかき混ぜながら、フツフツと軽い沸騰を4分ほど保って、出来上がりです。
酒粕でつくる甘酒は、加熱前でおよそ8〜10%程度のアルコール度数です。
加熱時に、フツフツする程度の沸騰を4分ほど保てばアルコールが飛び、アルコール度数は1%ほどになります。
濃いめの味わいを好まれる方は、
仕上げの前に塩をほんの少し加えると、砂糖の甘みも引き立ち、味がくっきりします。
今回は優しい甘みを楽しむために、塩を加えないレシピにしています。
できあがり。お好みで生姜汁を加えます。
お好み生姜を加える場合は、できれば土生姜をおろすのが良いです。
チューブのものは、ものにより、添加物が甘酒の繊細な風味に影響することがあります。
絞った生姜汁を、甘酒と別の器に入れて用意するのも良いでしょう。
初めはプレーンに楽しんで、途中から生姜を足して楽しむことができます。
また、絞り汁で別添えにしておけば手を汚すことなく楽しめるので、おもてなしにもスマートです。
●アルコールについての注意点
文中のできあがりのアルコール濃度については、1杯(180cc程度)を飲むことを前提に書いています。ふだんからアルコールに敏感な方が飲まれる場合や、大量に飲まれる場合は例外です。
呼気1Lあたりにアルコール濃度が0.15mg以上含まれると飲酒運転になりますので、どうぞお気をつけ下さい。もとはアルコールが含まれていることを意識し、飲み過ぎにご注意下さいね。
★おうちカフェで作る酒粕の甘酒、1杯のお会計は50円です
酒粕 26.2円(25g)/水 6.9円(160cc)/砂糖 2.8円(9g)/生姜汁 14円(土生姜1袋の1/8ほど使用)
ー1杯の価格は、各材料費を足して、小数点以下を四捨五入したものです。
ー材料費のみのざっくりな明細(税込)ですが、ご参考になればと思います。著者が身近な範囲で入手できて、お手頃価格だと思うものを購入して算出しました。
ー光熱費・道具代は含まれていません。
それでは、今日も素敵なカフェタイムを♪