はじめに、モクテルとは?
モクテルという言葉自体はイギリスで生まれた造語です。果実やハーブなどを原料とするビネガー類や、ノンアルコールのドリンクを組み合わせ、カクテルのように作るノンアルコール・カクテルを表します。「真似た」「見せかけの」を意味する英単語「Mock」と、「Cocktail」(カクテル)を組み合わせた言葉で、ロンドンで流行したことをきっかけに、世界中に広まりました。
ここ数年、コロナが追い風となって、国内の飲食店でもノンアルコールを好む方が増えたように感じます。そこで、お食事に寄り添い気分を華やかにしてくれるような、ワインのような、またカクテルのような、そんな楽しみ方のできるモクテルのレシピを私も日々考えて、ここでご紹介しています。
どちらかというと一般家庭というよりは飲食店向けのレシピかもしれませんが、お家でも、人を招かれる際や日常に華を添えるものとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。
★食事に寄り添うモクテル「ザクロ」のフードペアリング
レシピを構成するとき、数種類のイタリアワインの味わいを想定して作っています。(イタリアワイン限定なのは、筆者の職場でイタリアワインを多く扱うからです。)
今回の「ざくろ」で想定したのは、ヴェネト州のヴァルポリチェッラやピエモンテのバルベーラダスティ、ドリアーニといった中で、果実のチャーミングさを残して重すぎない味わいのもの。食事の最後にメイン料理と合わせるラスボス的赤ワインに至るまでの、やわらかい赤ワイン。そんなイメージです。
合わせる食事の重さとしては、コースなら中盤のあたり、ほうれん草や卵を練り込んだパスタと赤ワインを使用したお肉のラグーのパスタなどに。アンチョビや乳製品、卵、そのくらいの動物性食品や小麦粉と。ちょっと冒険してマグロや鰹など赤身のお魚、またスパイスやハーブの効いたミートパイ、にんにくと生姜の効いた豚スペアリブなどとも、相性が良いと思います。
★食事に寄り添うモクテル「ザクロ」の材料(1杯分・約110cc)
ー家庭用のはかりを使用して作りやすいよう、 材料はグラム表示にしています。
⚫︎ザクロジュースで作るベース50g ←下記【下準備】をご覧ください
ークミン 小さじ1/3ほど・適量
ー黒胡椒ホール 2〜3粒・適量(可能であれば軽く砕いて)
ー濃縮ビーツエキス 5.5g
⚫︎ミントティー 50g
⚫︎バルサミコ酢 2gほど
⚫︎水 10g
ー材料についての補足
・ザクロジュースは、順造選「ざくろジュース・ストレート」を使用しています。
・ザクロジュースに、クミン、黒胡椒、ビーツエキスを混ぜて馴染ませたものを原液(ベース)とします。
・濃縮ビーツエキスは、Natruly(ナテュリー)「レッドビーツ濃縮エキス(10倍)」を使用しています。
・ミントティーは、サカイキャニング「オーガニックハーブティー ミント」を使用しています。
・バルサミコはお好みのものでどうぞ。味わいと価格がある程度比例します。
★食事に寄り添うモクテル「ザクロ」の作り方
【下準備・前の晩くらいに】
ザクロジュースに黒胡椒、クミン、ビーツエキスを加え、原液(ベース)を作ります。
1杯分など少量で作るときは、小さい瓶などがあると便利です。アルコールや煮沸で消毒してから使用します。(筆者はザクロジュースを1瓶丸ごとで作るため、写真はすみません、そのようになっています。)
黒胡椒は、可能であれば、一粒をざっくり3つくらいに砕きます。乳鉢があればでOKです。包丁では難しく、怪我をするため挑戦しないで下さい。
スパイスは、そのまま入れる方が風味がしっかり抽出されますが、割れた黒胡椒やクミンが非常に小さいため、後で濾すのが面倒に感じれば、写真のようなティーバッグをお使いください。
スパイスをザクロジュースに入れたら、ビーツエキス(全量)も入れて、蓋をします。冷蔵庫で一晩おいて、風味を移します。
【組み立て】
ざくろジュースにスパイスの香りが程よく写ったら、あとは材料を足して混ぜ合わせます。
カップなどに、下準備で作ったざくろのベース(50g)、ミントティー(50g)、バルサミコ酢(1〜2g←お好みで)、最後に水(10g)を加えます。水で濃度を調整しますので、10gでなくとも、お好みの分量でどうぞ。
泡だてないようによく混ぜて、グラスに注いで完成です。クミンや黒胡椒の香りがふわりと立ち上るよう、ワイングラスなどがおすすめです。
ざくろの大地を感じる自然な甘みと、ビーツの土っぽさ、黒胡椒とクミンからはスパイシーさとエキゾチックさ、ミントティーはワインに感じるようなフレーバーを出してくれます。ビネガーを少し加えることで味を引き締めて、お食事にあう味わいになります。ぜひ作ってみてくださいね。