★はじめに★
世の中で「くず湯」と呼ばれているものには、本葛100%で作られたものと、
片栗粉など本葛以外のデンプンが入ったものがあります。
冬場に、お手頃な価格で売られている「くず湯」商品の多くは、パッケージの成分表示を見ると、
葛と片栗粉などを混ぜるか、片栗粉やコーンスターチで作られているようです。
ここでは、一番よく使われる片栗粉を使って、片栗粉バージョンのくず湯を作ります。
★ポイント★
●失敗なく仕上げるために大事なのは、
片栗粉に、糊化するために必要な熱をしっかり入れることです。
デンプンである片栗粉は、熱を入れて60℃前後になると、分子構造が壊れて糊化(アルファ化)が始まり、その結果、トロトロとして消化吸収の良い状態になります。
せっかく作るのだから、しっかり糊化させて、栄養を吸収したいですよね。
しっかり糊化したかな?とチェックする目安は、
とろみがしっかりあること+透明感が出ていることです。
<片栗粉のしょうが葛湯について ー生姜を入れる理由は?>
片栗粉も本葛も、植物の地下茎のデンプンである点で同じです。片栗粉はじゃがいものデンプンです。
デンプン=炭水化物なので、糊化した状態で摂れば吸収も素早くエネルギー源になってくれます。
薬効や栄養の面では、本葛は昔から、体を温めるなど多くの効能が伝えられますが、
片栗粉には、そういった効果はあまり期待できません。
でも、価格面で、本葛は精製に手間がかかるぶんお値段が高いのが現実…断然お手頃なのは片栗粉です。
そこで🐼は、片栗粉で葛湯を作るときは、栄養や薬効のある生姜を合わせると良いと考えています。
他にも、本葛と半々にしたり、「片栗粉は即エネルギーになるおやつ」と割り切って楽しむのもオススメです。
★片栗粉のしょうが葛湯の材料(1杯分)
- 片栗粉 小さじ2
- 熱湯 100cc(できればミネラルウォーターや浄水を沸かしたもの)
- 砂糖 小さじ2 ←お好みで調節して下さい。最低小さじ2くらいが飲みやすいです。
- 生姜の絞り汁 小さじ1〜2程度
★片栗粉のしょうが葛湯の作り方 ー電気ポットや電気ケトルのお湯で作る
では、片栗粉に熱を入れることを意識しながら、作ります。
①カップに片栗粉(小さじ2)を入れ、小さじ2の水(分量外)を加えて溶く。
ここでは、お湯ではなく水(分量外)です。デンプンにいきなりお湯を当てるとダマになります。
②分量の熱湯(100cc)を用意し、少しずつカップに注ぐ。
私はお湯を沸かすのに電気ケトルを使います。毎日大活躍のBALMUDA THE POTくん。
お湯を注ぐ前にカップの底で粉が沈殿していたら、もういちどスプーンなどでかき混ぜて下さい。
(固まっている片栗粉にお湯を注ぐとダマになり、失敗します。)
先ほど水でといた片栗粉の上から、分量の熱湯を少しずつ注いでは、よくかき混ぜます。
写真1枚目:お湯を1/3量入れたところ。まだサラサラです。
写真2枚目:お湯を2/3量入れたところ。急にドロっとしてきます。
片栗粉のデンプン質は、熱を入れて55℃〜65℃くらいで糊化が始まります。
急にドロンとし始めるので見た目ですぐにわかります(2枚目の写真をご参照ください)。
ー思ったよりドゥルンドゥルンになって、これは失敗しちゃった!?と思ったら…
もし、一気に糊化して過度にドロンドロンになってしまっても、あきらめないで♪
片栗粉って、そういう奴なんです…少し低い温度のお湯を加えたり、生姜汁など温度の低いものを加えながら、グルグルグルグル混ぜていると、滑らかな状態に戻ります。
ちょっと不安になる、過度に糊化したドゥルドゥル状態💧。でも大丈夫です、少し温度を下げて混ぜ続ければ滑らかな状態に戻ります。
飲み物として成立させるため、ほどほどのとろみで留めたいので、糊化し始めたら一旦お湯を注ぐのを止めて下さい。
糊化が始まる温度が低いところが、本葛と違う点ですね(本葛は70℃〜80℃くらいです)。
④糊化したら生姜の絞り汁と砂糖を入れる
生姜と砂糖はあらかじめスタンバイ
砂糖や生姜汁は、しっかりと糊化(=透明ドロドロ)状態ができてから加えます。
片栗粉と熱の仲をお邪魔しないように、生姜汁などを加える場合も、このタイミングです。
生姜と砂糖を入れます。
砂糖や生姜汁を足すことで温度が下がり、とろみが薄くなったら、また熱湯を足してかき混ぜて…
を繰り返し、お好みの分量やとろみで止めて下さい。お湯は全量を使い切らなくてOKです。
今回はお湯100ccを使い切りました。生姜汁と砂糖を入れて、とろみがゆるくなったら熱湯(分量内)を足して、よく混ぜます。出来上がりの温度は、しっかり糊化中なのを示す64.7℃です。
また、分量の湯を使い切ったのにとろみが出ない!というときは、電子レンジで様子を見ながら10秒ほど温めて下さい。加熱されてとろみが出ます(=糊化します)。
片栗粉のしょうが葛湯のできあがり♪
★生姜の絞り汁以外にも・加えて美味しく!★
片栗粉で作るとクリアな透明度が高く仕上がりますので、混ぜるものの色がきれいに出ます。
生姜以外でも、
ー例えば抹茶を合わせるときれいなグリーンに発色します。
片栗粉の抹茶葛湯のできあがり♪
ー砂糖+生姜汁+レモンジュース+蜂蜜、冬場にオススメです。
ーレモンジュースは市販の果汁100%のもの。おすすめ量は葛湯1杯につき小さじ2ほど。
ー蜂蜜は、砂糖にプラスします。葛湯1杯につき小さじ1ほど。
ー生姜汁も葛湯1杯につき小さじ1ほど加えます。
●電子レンジで葛湯を加熱するときは、突沸によるやけどにご注意を
葛湯のように粘度のあるものを温めるときは、突沸(とつふつ)することがあります。
突沸というのは、液体を温める際に、沸点を過ぎても気泡などを出さないまま、液体の温度だけが静かに上がり、それが何かの刺激で急にボコボコと沸き立つことをいいます。
コップに手が当たったりレンジのドアが開いて振動する、といったことも刺激になります。
突沸すると火傷のおそれがありますので、温め終えてレンジから出すときは、少しだけ様子を見てからにして下さいね。
●誰かに作ってあげるときは
ぜひスプーンを添えてあげて下さい。木製やプラスチック製のスプーンがあれば、金属のものほど唇に触れたとき熱くないので、ちょっといい感じの気遣いです。
★おうちで作る片栗粉のしょうが葛湯、1杯のお会計は23円です
片栗粉 2.5円(6g)/水 4.7円(計110cc)/砂糖 1.9円(6g)/生姜汁 14円(土生姜1袋の1/8ほど使用)
ー1杯の価格は、各材料費を足して、小数点以下を四捨五入したものです。
ー材料費のみのざっくりな明細(税込)ですが、ご参考になればと思います。著者が身近な範囲で入手できて、お手頃価格だと思うものを購入して算出しました。
ー光熱費・道具代は含まれていません。
それでは、今日も楽しいカフェタイムを♪